「グリップで親指の付け根がピキッ…」つらい母指の痛みを改善
📝【来院の背景】
- 年齢・性別:40代前半・男性
- ゴルフ歴:約10年(アベレージゴルファー)
- 主訴:半年ほど前から続く、ゴルフ中の右手母指(親指)の付け根の痛み。特にグリップ時やインパクト時に悪化。
- 来院までの経緯:湿布やサポーターで様子を見ていたが改善せず。痛みのせいでゴルフに集中できず、スイングにも悪影響が出始めたと感じ、身体の専門家による根本的なケアを希望してフィジック恵比寿に来院。
🔍【母指の痛みに隠された、ゴルフスイング特有の負荷と身体の連動性】
母指の付け根の痛みは、ゴルファーに比較的多く見られる症状の一つであり、ドケルバン病と呼ばれる腱鞘炎の可能性が考えられます。これは、手首の親指側にある長母指外転筋と短母指伸筋という2つの腱が、手首の動きに伴って腱鞘の中を通過する際に摩擦が生じ、炎症や損傷が起きている状態です。
ゴルフスイングは、体全体で生み出したパワーをクラブヘッドに伝えるための連続した動きです。その中で、手首や手はクラブと体をつなぐ重要な部分であり、スイング中は、手首や指には強い負担がかかります。
特に、グリップ時や手首のコック・リリース動作では母指側に大きなストレスが集中しやすくなります。
例えば、クラブを強く握りすぎたり、親指をクラブに沿って長く伸ばす「ロングサム」グリップとウィークグリップを組み合わせたりする不適切なグリップや、あるいはバックスイングで手首を過剰にコック(橈屈・背屈)し、ダウンスイングでそれを早期に解放してしまう(キャスティング)といった動作の繰り返しは、まさにこの母指側の腱鞘にストレスを集中させ、痛みを引き起こす原因となり得ます。アマチュアゴルファーに多い手首の不安定な動き(例:オーバーコックして維持できないなど)も、このような負担を増大させる要因となります。
さらに、母指の痛みは局所的な問題だけでなく、体幹や肩甲骨といった運動連鎖に関わる場所の可動制限や安定性の低下があると、それを代償するために手首や前腕に過剰な負担がかかり、結果として母指周囲の組織にストレスが集中することがあります。
🧠【身体の特徴から読み解く、痛みとスイングのつながり】
- 手首(特に母指側)可動性亢進と前腕の可動域制限:
手関節を使いすぎて、靭帯にストレスが加わり、関節が不安定になると、母指や前腕の筋肉に過緊張が生じます。その影響で前腕の回内/回外といったゴルフスイングに必要な肘の可動域が制限されていました。
- 前腕筋群のアンバランスと筋膜の硬さ:
前腕の屈筋群と伸筋群のアンバランスが起こり、母指外転筋、短母指伸筋、手関節屈筋群に関連する筋膜の強い硬さや圧痛が見られました。
- 肩甲骨の安定性の低下、体幹とのつながりが弱い:
前鋸筋や菱形筋の機能低下により肩甲骨の動きが制限され、腕と体幹の連動性がおちている。この場合、手打ちになりやすいため、手首や指に負担が加わりやすい。
- 腹筋の筋力低下:
スイングの軸となる体幹の安定性が弱く、スイング中に体のブレが生じやすい状態でした。腹筋の弱化はエネルギーの伝達効率を乱し、末端である手首や母指に過剰なストレスをかける原因となります。
- 胸椎、股関節の可動制限:
胸椎や股関節といったスイングに重要な体幹部の可動性にも制限が見られました。体から手を介してクラブへと力を伝えていくため、体幹部の動きに制限があると、クラブが暴れて打点がズレやすくなります。それを制御するために手指に不要な力が入りやすい傾向があります。
痛みの部位である母指だけでなく、手首、前腕、肩甲骨、体幹、さらには股関節といった全身の連動性が重要であるという視点を持つことが、改善への第一歩となります。
💡【母指の痛みの解消とスイング改善に向けたアプローチ】
- 母指と前腕の筋肉と腱へのアプローチ:
母指~前腕にかけての腱や筋膜をリリースし、硬くなった組織の柔軟性改善を目指しました。手~胸部にかけてのファシアストレッチも行いました。
- 手首の安定化・テーピングで固定:
尺骨と橈骨をテーピングで固定し、手関節の安定性を高めながら、肘の歪みの矯正を行い、手~肘の正常な動きの回復を目指しました。
- 運動連鎖の改善:
肩甲骨や胸椎、股関節の可動性改善、それを生かした体幹の安定化トレーニングを実施し、下半身→体幹→上肢→クラブへと効率的にパワーを伝える体の使い方に変えていきました。
- グリップと動作のアドバイス:
母指に負担をかけにくいグリップ圧や、スイング中の手首・母指の使い方について手指の負担を減らすという視点でアドバイスを行いました。
- 自宅でのセルフケア指導:
手首・前腕のストレッチや筋力エクササイズ、筋膜リリース(フォームローラー等)といった、ご自宅で継続できるケア方法をアドバイスしました。
これらの10回のアプローチにより、グリップを握る時の不安感がなくなり、インパクト時にも痛みを気にせず振り切れるようになったとのことでした。
💬【お客様の声】
「もうゴルフを思いきり楽しめないかもしれない…そんな不安がずっとありました。でも、今ではまた自信を持ってクラブを握れて、本当に嬉しいです!」
最近は、同伴者にも『なんかスイング変わった?安定感あるね』って言われることも増えて、自信が戻ってきました。ゴルフが楽しくプレーできるようになって本当に良かったです!
👨⚕️【担当者コメント】
ゴルファーにとって母指の痛みはつらいお悩みです。「また痛みが出るんじゃないか」と思いながらスイングする――それでは、心からゴルフを楽しめなくなってしまいます。
母指の痛みは、一見すると“その部分だけの問題”に思えるかもしれません。でも実は、グリップの仕方、手首の使い方、さらには肩や体幹、股関節の動き方まで関係していることがとても多いです。
親指は、スイングの中で最も繊細な感覚を担う場所です。少しの違和感や使い方のズレが積み重なることで、痛みに変わってしまうことがあります。
だからこそ、痛みを「その場しのぎ」で終わらせるのではなく、体のどこに負担が偏っているのか、なぜ親指に負担が集中しているのかを一緒に探っていくことが大切だと私たちは考えています。
「痛みがなくなった」その先にある、“ゴルフが再び楽しくなる”という本質的なゴールを、今後も一人ひとりの想いと身体に寄り添いながらサポートしてまいります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
手首・手の症例と他の症状別ケアのページはこちら…
▶ ゴルフで感じる手首・手の痛みの原因と改善方法をまとめた解説ページはこちら
▶ 【症例】
▶ 【症例】
フィジック恵比寿の「ゴルフ整体・ゴルフケア」について詳しく知りたい方はこちら
ゴルフに本気で向き合いたい方へ。体の根本から整えることで、痛みなくスイングを楽しむ体づくりをサポートします。
ゴルフ整体なら フィジック恵比寿
恵比寿・広尾・渋谷エリアでゴルフの体のお悩みを改善したい方は、当院へぜひご相談ください。TPIメソッドを組み合わせたゴルフケアで、痛みの根本改善とスイングの向上をサポートします。
- 所在地:東京都渋谷区広尾1丁目7-22 ハイシティ広尾Ⅱ 401
- アクセス:JR恵比寿駅 徒歩7分/日比谷線広尾駅 徒歩10分
- 営業時間:火・金 10:30〜19:00/土 10:30〜14:00(月・水・木・日休)
- ご予約:WEB予約はこちら / TEL: 03-6450-2365