四十肩・五十肩のレベル(4つの進行ステージ)
四十肩・五十肩(癒着性関節包炎、肩関節周囲炎)では、ご自身の進行レベルを正しく把握した上で、適切な処置を行うことが何よりも大切です。
*以下の区切りは大まかな目安です。関節鏡ステージ(Hannfin, 2000)、自然経過のステージ(Reeves, 1975)を参考に。
ステージⅠ:凍結の前段階(数週~1カ月程度)
肩の痛みあり。この段階での積極的な介入はステージの進行を防ぐ効果が高い。頚椎や胸椎などの背骨、肩関節や肩甲骨について、カイロプラクティックのアジャストメントを行うことで痛みの回復効果が高い時期。炎症が起こって強い痛みを伴うことがあり運動機能の低下が見え始める。何とかこの段階で機能の低下を防いで進行を食い止めたいところ。
一般的には消炎鎮痛剤、関節包内注射などを行うことが多い。
ステージⅡ:凍結の進行(痛みは10週~36週続くことが多い)
肩の痛みあり。ここまで来てしまうとステージⅢとⅣにまで進行する可能性が高い。関節包内の容積の減少と滑液(関節内の潤滑液)の減少が生じて、組織の破壊が始まる。モビリゼーション(関節の緩やかな押圧による治療)が有効となる。痛みの出る動作をなるべく避けた方が良いが、痛みのない範囲内では関節を動かすようなエクササイズが必要となる。
ステージⅢ:凍結の完了(関節の硬さは4~12カ月続く)
肩の痛みなし。筋肉の委縮や過度な筋緊張を生じる。腕を動かす際の動作がうまくできなくなり、二次的に首や背中に張り感や痛みを生じることが多い。運動神経の極度の機能低下が生じる時期。痛みを増加させないように可動域を改善していく治療が必要となる時期。この時期に積極的な治療を行うことで、予後の善し悪しが決まる。カイロプラクティック治療+セルフエクササイズが効果を発揮する。温浴などで肩を温めることで血液循環を促進して、老廃物の代謝を促進することも良い。
ステージⅣ:解凍の時期(6カ月~2年くらい)
肩の痛みなし。痛みはほとんどなくなっているが、神経系が肩まわりの正常な関節運動機能を忘れてしまっている。関節と筋肉のリハビリによって、柔軟性と筋力の回復、運動神経の正常化を行うべき時期。背骨や胸郭などの体幹の機能も向上させることで、肩の働きを大幅に改善することができる。
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