赤ちゃんと自分の体を守る“やさしい食べ方の工夫”
妊娠中の食事や栄養状態は、おなかの赤ちゃんの成長だけでなく、お母さんの体調や体質を左右する大切な要素です。便秘や肌荒れ、疲れやすさ、むくみなど、妊娠中に起こりやすい不調は「栄養のバランス」と「腸内環境」が深く関わっています。
最近の分子栄養学では、腸内フローラと栄養素の関係性が妊娠期の健康状態に影響を及ぼすことが示されています。今回は、妊婦さんが特に意識しておきたい栄養素と、善玉菌が喜ぶ“やさしい食べ方”のコツをご紹介します。
腸内環境と妊娠のつながり
妊娠中はホルモンバランスの変化により、腸内環境(腸内細菌叢)が大きく変わります。腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると、消化吸収力や免疫力、さらには胎児の成長にも影響が及ぶことが報告されています(Wang et al., 2023, Front Nutr)。
腸内フローラを整えるカギとなるのが、プロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌)、プレバイオティクス(水溶性食物繊維など)です。最近では、この2つを組み合わせた“シンバイオティクス”の摂取が、妊娠中の腸内環境を安定させる効果があると注目されています(Capozzi et al., 2022, Nutrients)。
不足しがちな栄養素とその働き
・ビタミンとミネラル
妊娠中は赤ちゃんの成長に多くの栄養素が必要とされるため、特に鉄、カルシウム、亜鉛、マグネシウムなどが不足しやすくなります。鉄は貧血予防と酸素供給に、カルシウムは骨格形成に、亜鉛は細胞分裂と免疫に、マグネシウムは神経と筋肉の働きに深く関わります(Zhou et al., 2021, J Matern Fetal Neonatal Med)。
・たんぱく質と脂質
赤ちゃんの体をつくる材料として、たんぱく質は不可欠です。また、脳や神経の形成にはDHAなどの良質な脂質が必要です。毎食に良質なたんぱく質を取り入れつつ、脂質は揚げ物よりも魚やナッツ、アボカドなどから摂るのが理想的です。
実践ポイント:妊娠中に腸内フローラを育てる食べ方の工夫
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- 水溶性食物繊維(こんにゃく、大麦、海藻、オートミールなど)を毎日意識的に摂る
- 麹や味噌、ぬか漬けなどの発酵食品を毎日は取り入れる
- 善玉菌のエサになるオリゴ糖(バナナ、玉ねぎ、ビーツ、大豆など)も活用する
- 食物繊維と一緒に、プレバイオティクス&プロバイオティクスのサプリを活用
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【まとめ】
妊娠中の体質を整えるには、「腸内環境」と「栄養素のバランス」の両面からアプローチすることが大切です。水溶性食物繊維で善玉菌を育て、プロバイオティクスやプレバイオティクスで腸を整える習慣は、ママの免疫力や肌の状態、便通の改善にもつながります。
ビタミン・ミネラル・たんぱく質・脂質などの基礎栄養をバランスよく取り入れることで、赤ちゃんにとっても安心できる栄養環境が整います。毎日の食事が、未来の体と心の土台になります。まずは“やさしい工夫”からはじめてみませんか?